パッシブデザインの家が冬でも暖かいのはなぜ?理由とそのメリットを解説!

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パッシブデザインのコンセプトは自然エネルギーの活用だけではありません。
自然エネルギーを活用して「快適な空間を実現する」までがコンセプトになっています。
そこで今回は、パッシブデザインで実現できる快適な空間の1つである「冬でも暖かい家」について、その理由とメリットを解説します。

□パッシブデザインの家が冬でも暖かい理由とは?

パッシブデザインは主に5つの要素で構成されていますが、その中でも「日射熱利用」、「自然風利用」の要素は冬場の寒さの解消につながります。

*日射熱利用

日射熱利用は大きく「集熱」、「断熱」、「蓄熱」に分かれ、それぞれレベルを高くすれば暖房器具を利用しなくても暖かく生活できるとされています。

集熱のポイントは、南向きの窓です。
大きくすれば室内に取り込める太陽熱は増えますが、窓は壁よりも断熱性能が低いので家全体の断熱性に影響します。
窓の大きさだけを考えるのではなく、窓が真南を向いていること、9~16時の間に太陽熱を受ける窓を確保することを意識すると良いでしょう。

断熱は、パッシブデザインの要素の1つです。
ただし、ただ高い断熱性を求める屋根や壁とは違い、窓部分は集熱とのバランスも考えなければいけません。
断熱性能の高い窓、シェードやカーテンの利用も選択肢に入れて、集熱と断熱のバランスをとると良いでしょう。

蓄熱は、昼間に集熱した熱を夜まで室内に保つことです。
木造よりコンクリート造のほうが高い蓄熱能力を持つので、太陽熱を受ける床や壁のみをコンクリートにする方法もあります。

*自然風利用

自然風利用による空気循環は、家全体の温度を均一にします。
集熱により暖められた空気が2階へ届き、その分、少し暖かい空気が下に下がってきます。
パッシブデザインにおける自然風利用は夏の涼しさや換気においても重要ですが、家全体の風の通り道を考える設計は冬場の空気循環においても役立っているのです。

□冬でも家が暖かいメリット

パッシブデザインの家は冬でも暖かいという特徴がありますが、このことは暖房器具の使用量が減り光熱費が削減できるほかにも多くのメリットを持ちます。

*体感温度が上がる

体感温度は室温とは一致しないことがほとんどです。
その理由として、壁や床の表面温度が低いことが挙げられます。
しかし、パッシブデザインの断熱性能によって壁や床の表面温度は暖かく維持され、その結果、体感温度も高くなります。

*健康リスクを低減できる

家全体の温度を一定に保つことは、部屋ごとの温度差によるヒートショックを防ぎます。
屋外と室内の温度差によって起こるカビの発生、それによるアレルギーのリスクなど、他の健康リスクも低減できます。

□まとめ

パッシブデザインの家は日射熱利用と自然風利用による空気循環によって、冬でも暖かい快適な空間を実現できます。
また、冬の家が暖かいことは体感温度の上昇や健康リスクの低減にもつながります。
1年中快適な家で過ごしたい方は、省エネ以外にもメリットがあるパッシブデザインの家を選んでみてはいかがでしょうか。

パッシブデザインの目的とは?パッシブデザインの5つの要素も解説!

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デザイン、耐震性、間取りなど家づくりで優先させたい事項は挙げるときりがありません。
しかし、1番大事なのはやはり、家族が快適に過ごせることではないでしょうか。
他の事項を考えていると忘れがちな「快適さ」はパッシブデザインの家で実現できます。
そこで今回は、パッシブデザインについて解説します。

□パッシブデザインの目的

パッシブデザインとは、自然エネルギーを活用して快適に、そして省エネに過ごせる空間を実現する設計手法のことです。
ドイツの省エネ住宅であるパッシブハウスが考え方の元になっています。

「パッシブ」を直訳すると「受動的」という意味を持ち、自然エネルギーを「受ける」デザインという意味です。
この文章だとわかりにくいですが、対称的な設計手法にアクティブデザインがあります。

少し前から耳にするようになったアクティブデザインの「アクティブ」は「能動的」という意味であり、太陽光発電システムや太陽熱利用の給湯システムなどアクティブシステムを活用して自然エネルギーの最適化を目指すという設計手法です。

パッシブデザインではこのようなアクティブシステムは使用せず、家の設計のみで「受ける」自然エネルギーを最大限活用します。

□パッシブデザインを支える5原則

では、家の設計のみでどのように自然エネルギーを受けるのでしょうか。
パッシブデザインには、自然エネルギーを活用するための5つの要素があります。

1.断熱性能・気密性能

高い断熱性と気密性を備えることで、外気の影響を受けず快適な室温を維持します。
また部屋ごとの温度差や、屋外との温度差が少なくなり、ヒートショックやカビの発生などあらゆる健康リスクの低減につながります。

2.日射遮蔽

日射遮蔽は暑さが厳しい夏を快適にする、とても重要な要素です。
庇(ひさし)やシェードを窓の外に設置し太陽熱を遮ることで、室温の上昇を防ぎます。

3.自然風利用

自然風利用では、暖かい空気は上に、涼しい空気は下に動く特性を活かし、家全体の空気を循環させます。
設計時にシーリングファンや窓の位置を工夫することが重要です。

4.昼光利用

窓からの太陽光で、昼間は照明なしでも十分な明るさを確保できます。
また、採光だけではなく、光を部屋の奥まで届かせることも大切です。

5.日射熱利用

窓から太陽熱を取り入れることで、暖房器具の代わりに室内を暖かくします。
より効果を発揮させるためにも、自然風利用、昼光利用とともに窓の大きさや位置を考える必要があります。

□まとめ

パッシブデザインは、家の設計を工夫することで自然エネルギーを最大限活用し、快適に過ごせる空間を実現します。
断熱性能・気密性能、日射遮蔽、自然風利用、昼光利用、日射熱利用という大きな5つの要素によって構成されており、この5つの要素のバランスが設計においてとても重要です。

当社は、はじめての家づくりを一からサポートいたします。
ご家族と快適に暮らせる家づくりは、ぜひ当社にお任せください。

パッシブデザインには全館空調を!快適さの秘密を解説します!

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あらゆる環境問題に加えエネルギー価格高騰の背景から、省エネがより求められるようになっています。
省エネ住宅に対しての補助金制度も充実してきており、これを機に省エネ住宅の購入を考え始めた方も多いのではないでしょうか。
省エネ住宅のデザインの1つにパッシブデザインがありますが、パッシブデザインは全館空調を導入すると効果が高まるとされています。
そこで今回は、パッシブデザインと全館空調の相性やメリットを解説します。

□全館空調で夏は涼しく、冬は暖かく

全館空調は家全体の空気の流れを良くするだけではなく、季節に合わせて熱の出入りを調整することで1年中過ごしやすい家にできます。

夏場は、太陽熱によって屋根や外壁が熱され、その熱が室内に届き夜まで熱がこもってしまうこともあります。
しかし、全館空調があれば、昼間は熱が室内に届く前に小屋裏の排気口から熱を排出し、夜間は放射冷却現象を利用して涼しい空気を給気口から取り込めるので、夏の暑さを和らげられます。

一方で、冬場は室内に取り入れた太陽熱を効果的に利用することが重要です。
全館空調によって換気しながらも熱を蓄え、熱を家全体に広げることで部屋ごとの温度差を少なくします。

□パッシブデザインでの全館空調のメリット

自然エネルギーを活用するパッシブデザインの家に全館空調をプラスすることで、さらなるメリットを得られます。

・気流を感じない

全館空調で家全体の室温を一定にすることで、冷暖房による気流を感じなくなります。
冷暖房特有の冷たい風や熱い風を受けることなく、快適な気温で過ごせるのです。

・確実に換気できる

全館空調は家全体の空気を確実に動かせるので、十分な換気も期待できます。
しっかり換気できていると、温度だけでなく湿度も自然に調整されます。

・省エネ効果

全館空調によって部屋ごとの温度差を少なくできるため、冷暖房の稼働効率が良くなります。
使用量も抑えられ、光熱費削減にもつながりますね。

・家が長持ちする

見える部分だけでなく見えない床下や天井裏まで空調するため、基礎部分や電線が高温や低温にさらされることがなく、腐食や劣化のリスクを減らせます。
また、床下は常時空気が流れているため、気流を苦手とするシロアリへの対策にもなります。

□まとめ

全館空調によって、家全体の空気を循環させることで快適な温度を維持できます。
さらに、パッシブデザインと兼ねて採用すると、換気や気流などの面からより快適な空間を実現できるだけではなく、家の耐久性維持にもつながるというメリットがあります。
パッシブデザインの家をお考えの方は、ぜひ全館空調の導入も同時に検討してみてください。

たくさんのメリットがある!パッシブ設計の間取りについて解説します!

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地球に優しい取り組みが進む中、省エネを目指す家電や車も増えてきました。
住宅もその1つですが、省エネといっても住む側にとってはいまいちメリットを感じられないかもしれません。
しかし、省エネによって受けられるメリットはたくさんあります。
今回は、省エネ設計手法の1つであるパッシブデザインのメリットについて解説します。

□パッシブ設計のメリット

地球のために省エネを実現するといっても、なかなか実感が湧かない方も多いと思います。
しかし、パッシブデザインで設計することは、省エネだけではない、直接感じられるメリットがあるのです。

1.光熱費を節約できる

パッシブデザインは、冬は太陽熱によって室内を暖め、夏は日射遮蔽によって室内の温度上昇を防げるような設計手法です。
そのため、冷暖房なしでもある程度快適な室内温度で暮らせるので、光熱費を削減できます。

2.健康的な生活を送れる

エアコンはカビが発生しやすい場所でもあり、定期的に掃除をしないと汚れた空気が部屋に蔓延してアレルギー症状に悩まされることにもつながりかねません。
また、冷暖房の乾燥した空気を浴び続けること自体もあまり体に良くないことです。

一方で、パッシブデザインでは自然エネルギーを活用することで冷暖房の使用量が減るため、このような悩みを解決できます。
また、自然風利用によって空気循環も良くなり、家全体を一定の湿度・温度に保てるのでヒートショックの危険性も下がります。

3.日本の四季を感じられる

四季を楽しめるのは日本ならではのものです。
人工設備によって保たれた温度の中で過ごすよりも、パッシブデザインで快適な温度でありながらも自然を感じられる空間で過ごしてみてはいかがでしょうか。

□パッシブ設計の理想の間取り

ただ単純に省エネを目指すのではなく、エネルギーを消費している箇所を特定したほうが効率良く省エネを実現できます。
実は、家の中で1番エネルギーを消費するのは暖房です。
ここでは、暖房のエネルギー消費を抑えるための間取りを解説します。

1. 南側には家族が集まるスペースを

暖房の使用量を減らすには、効果的に太陽熱を取り入れることが重要になってきます。
そこで、南側に大きな窓を設置することによって、多くの太陽熱を集めます。
また、その太陽熱を集めても利用しなければ意味がありません。
太陽熱で暖まった空間で過ごせるように、南側には家族が集まるスペースを配置しましょう。

2. 北側には小さなスペースを

反対に、北側の窓は小さくしましょう。
窓は壁よりも断熱性能が低いため、窓が大きいと外の冷たい空気が家の中に伝わりやすくなってしまいます。
太陽熱を集めることも難しいため、暖房をもともと設置していないようなトイレやお風呂などを北側に配置すると良いでしょう。

□まとめ

パッシブデザインは省エネだけではなく、光熱費を削減しながら健康的で四季を楽しめるような生活を送れます。
その中でも特に光熱費削減を意識した設計にしたい方は、南側と北側で窓の大きさと間取りに気を付けて設計してみてください。
その他家づくりに関してご不明点がございましたら、当社にご相談ください。

どちらも自然エネルギーを活用!パッシブ手法とアクティブ手法の違いについて解説!

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地球温暖化や絶滅危惧種の問題が深刻化する中、できることから始めようとする動きが国内だけではなく世界中で広がってきています。
家づくりでもその動きがあり、省エネを目指す家が増えてきました。
では、省エネの家とは一体どのような家なのでしょうか。
今回は、省エネを目的とした設計手法であるパッシブ手法とアクティブ手法の違いについて解説します。

□パッシブ手法とアクティブ手法の違い

家の設計手法であるパッシブ手法とアクティブ手法は、どちらも「省エネ」を目指す手法です。
しかし、目的を達成するための手段が異なります。

「パッシブ」とは英語で「受動的」を意味し、パッシブ手法は「受け取った自然エネルギーを最大限活かして」省エネを目指す手法です。
方法として、太陽光をできるだけ室内に取り入れて照明の使用量を減らす、夏は庇(ひさし)で室内に太陽熱が伝わるのを防いで冷房の使用量を減らすなどがあります。

一方で、「アクティブ」とは英語で「能動的」を意味します。
アクティブ手法で「先進技術によって積極的にエネルギー利用を最適化して」省エネを目指す手法です。
そのため、太陽光発電システムや全館空調システム、高性能断熱材などアクティブシステムと呼ばれる設備を導入する必要があるのです。

□パッシブ手法は昔の日本の住宅に通ずる

アクティブ手法を支える先進技術が開発されたのは最近ですが、パッシブ手法の考え方や方法は昔の日本の住宅に通ずるものがあります。

*高い吹き抜けとたくさんの窓

パッシブ手法を構成する要素に通風がありますが、それを支えるのが吹き抜けと窓です。
昔の家では高い吹き抜けがある家が多く、横だけではなく縦の空気循環も可能でした。
また窓が多いことで、空気の流れを確保するだけではなく、室内への太陽光の確保も十分だったのです。
このような窓の位置や吹き抜けの採用は現代のパッシブ手法でも主要であり、省エネの目的を達成するために欠かせないものです。

*深い軒

昔の家の軒は深いものが多く、日射遮蔽に役立っていました。
日射遮蔽によって夏でも室内の気温上昇が抑えられ、室内での暮らしの快適さにつながります。
パッシブ手法においても、日照時間や太陽の位置を計算し、軒の深さを決めています。

□まとめ

パッシブ手法は家の設計によってエネルギーを最大限活用することで、アクティブ手法は先進技術によってエネルギー利用を最適化することで、それぞれ省エネを目指す設計手法です。
先進技術を使うアクティブ手法に対し、パッシブ手法は昔からの経験と知識を活かされているものが多いです。
ぜひ家づくりではどちらの手法を取り入れるか検討し、省エネで快適な生活を送ってください。